Google、ウェイモ、日産、ルノー「完全自動運転車へ王手?」アメリカ最大規模配車会社と提携へ

AI・人工知能を活用した技術として、現在最も注目されている「自動運転車」の技術。

ドライバー・運転手を必要とせず、クルマが自動的に乗客を目的地まで連れて行ってくれるこのテクノロジーは、世界規模で各自動車メーカー、IT企業が提携、競合して開発を進めています。

2018年3月に、同じく自動運転車を開発するアメリカのUber(ウーバー)が公道での自動運転車による人身死亡事故が起きたことに影響を受け、自動運転車の研究・開発は若干停滞気味となった時期もありました。

しかし、同年10月に日本のトヨタ自動車がソフトバンクと。ホンダ技研工業がGMと自動運転車の開発を目的とした提携を行うなど市場は再加熱。2019、20年は自動運転車技術において、大きなターニングポイントになる年となりそうです。

2009年よりこの技術を研究・開発をはじめたGoogle傘下の子会社「Waymo(ウェイモ)」

ここにきて、この加熱した市場から一歩飛び抜け王手をかける企業が現れました。

レベル5自動運転車の開発とレベル4の実用化に向けて

100年に一度の技術革新といわれる「自動運転車」の技術。

馬車や牛車といった動物ではなく、原動機(エンジン)のチカラを利用して走る自動車が、人類の歴史の上に誕生したのは1769年。

250年の時間を費やし、自動車は「自動運転車」へと進化しようとしています。

自動運転車はおおまかに5段階にレベルが分かれていて、現在多くの自動車メーカーがレベル1「運転支援」の技術を採用したクルマを販売し公道を走っております。

また、駐車場など私道や敷地内においてのみレベル2の「部分運転自動化」が使用できるクルマも実用化・販売されています。

自動運転車のレベル
0運転自動化なし
自分で車を運転する、自動運転の機能がついていない車両のことを指す。
前方衝突警告などのアラートがついていても運転への制御ではないのでレベル0に分類される。
1運転支援
ハンドル操作や加速・減速などの運転のいずれか1つを、車両が支援してくれるものを指す。
事故が起きそうな状況を車両側が判断して自動でブレーキする機能や、車の走る・止まる動作を自動でしてくれるACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)がここに分類される。
2部分運転自動化
ハンドル操作と加速・減速などのうち、同時に複数の操作を、車両が支援してくれる。
ドライバーが周囲の状況を確認する必要があることに変わりはなく、一定時間ハンドルから手を放しているとシステムが解除されるなどの機構を搭載している車両もある。
3条件付き自動運転
限定的な状況下ですべての操作をシステムが制御する。
システム側が手動運転の必要性を察知した際は切り替えが行われ、ドライバーの操作が必要になる。
交通量が少ない、天候や視界がよいなど、運転しやすい環境が整っていることも条件である。
事故の際の責任はドライバーが負うものとなる。
4高度自動運転
ドライバーが乗らなくてもOKとなる。ただし、交通量が少ない、天候や視界がよいなど、運転しやすい環境が整っているという条件は必要になる。
このレベルでは事故の際の責任はシステム側が負うことになる。
5完全自動運転
どのような条件下でも、ドライバーを必要とせず、自律的に自動走行をしてくれる。

上の表で「自動運転」と区分されるものはレベル3〜レベル5のもので、レベル1と2は「運転支援」と分類されています。

Googleが日本の自動車メーカー「日産」と独占契約

2019年も折り返しにきて、自動運転車開発においてアクセル全開で加速をはじめた会社があります。

それこそが「Waymo(ウェイモ)」

Googleの自動運転車開発の子会社となるウェイモは、6月20日に日本の自動車メーカー「日産自動車」と連合を組むフランスの自動車メーカー「ルノー」2社と、自動運転車サービス事業の開発で独占契約を結びました。

ウェイモ、日産、ルノーの3社は、共同で日本とフランスにおいての事業の検討を行い、今後は中国を除いた世界規模での市場で、事業化を図っていく予定です。

また、日産が筆頭株主となる「三菱自動車」も、追ってこの共同体に合流する予定です。

日本国内において自動運転車の技術と事業規模において先頭を走っていたのはトヨタ自動車でしたが、ホンダ技研工業に続き、日産&Googleという大きなライバルが登場してきました。

トヨタはこれをどう迎え撃つのか? そしてホンダは? 今後の国内メーカーの動きもたのしみですね。

日本国内での自動運転車に関する動き

日本においては2019年5月の参院本会議で、自動運転の実用化に向けての安全基準を定める「改正道路運送車両法」が全会一致で可決されました。

2020年内には高速道路や交通量の少ない公道において、自動運転車の利用が可能になることを目標と掲げました。

2020年といえば東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世界的に日本が注目を浴びる年でもあります。世界へ向けて日本の技術力を発信するためにも、早い法整備が行われると良いですね。

また、日産とGoogleが事実上提携をしたことにより、アメリカからの日本国内においての自動運転車関連の法整備の加速化を提言されるという可能性も大いにあります。

Waymoによるレベル3自動運転車の配車サービス開始

アメリカ国内では、すでに試験ではない実用段階での自動運転車の公道運用が、一部の地域において行われています。

アメリカ・アリゾナ州は2018年12月から、Waymo(ウェイモ)による自動運転車によるタクシー配車サービスを開始しました。

「Waymo One(ウェイモ・ワン)」というスマホアプリを使用し、ユーザーは自動運転車のタクシーを呼び、目的地まで送ってもらえます。

タクシーにはとりあえず安全確保要員として運転席にドライバーが座っていますが、走行中に運転は行いません。ただ座って、たまに乗客の方とお話をしたりするだけです。

Lyftと手を組んだWaymo

ウェイモのアリゾナ州におけるタクシー配車サービスにおいて、ウェイモと提携を結んだのは配車サービス会社の「Lyft(リフト)」

2018年12月から開始されたスマホアプリ「Waymo One(ウェイモ・ワン)」による乗客数は約半年で1千人を超えました。ウェイモは次のステップとして、商用実用段階におけるパートナーとしてリフトを選んだのでした。

日本では馴染みのない名前ですが、アメリカにおいてはUber(ウーバー)に次ぐ配車サービス最大手の一角となる会社です。

ウェイモは早い段階で10台の自動運転車両をリフトに配備する予定です。

配車サービス会社と提携することで得るもの

2018年10月に、日本国内を騒がせたニュースとしてトヨタ自動車とソフトバンクによる自動運転車開発を目的とした事業提携がありました。

この2社の提携において、扉をノックしたのはトヨタ自動車側からでした。

なぜトヨタはソフトバンクと提携したかったのでしょう?

ソフトバンクは2018年半ば頃までに大規模な投資を行い、アメリカの配車サービス会社「UBER(ウーバー)」や、中国の同じく配車サービス会社「DiDi(ディディ)」の筆頭株主となりました。

トヨタが欲しかったのは、それら配車サービス会社のもつドライブレコーダーのデータ「ライドシェア・データ」です。

自動運転のAI・人工知能は過去のデータで育てられる

現在、多くの分野でAI・人工知能が活用されていますが、AIを運用するにあたって必要なものは「過去のデータ」です。

天気予報を予測するには過去の気象データが、株価を予想するには過去の株価変動のデータが、そしてAIが指す将棋には過去の棋譜データが。

これと同じように、自動運転車を開発、運用するためには過去のドライブレコーダーのデータが必要であり、そのデータ量が多ければ多いほど、自動運転車の精度は向上していきます。

ウェイモが新たにリフトと提携を行ったのは、同じくデータの収集が目的とされています。

アリゾナ州を走る自動運転タクシーの走行中の動画や、アクセルやブレーキのタイミング、危険感知情報など、ドライブ中のデータは全て解析され、新たな走行にフィードバックされていきます。

ソフトバンク代表取締役兼社長である孫正義さん曰く、現在において最も成長性の高い金脈として着目していた「ライドシェア・データ」「ドライブ・データ」。先見の目は確かで、自動運転車開発を進める各メーカーは、躍起となってそれらの収集に日々奮闘しています。

事実上、見た目ではGoogle、ウェイモ、日産、ルノーによる自動運転車共同体が、商用実用段階での自動運転車の運用を進め、王手をかけているようにも見えますが、対するトヨタ自動車とソフトバンクも、懐にあるたくさんの金銀飛車角がいつでも王手を指せる状態にあるといえましょう。

だんだんとゴールが見えてきた自動運転車技術。本格的な実用となる2、3年後にどこのメーカーが市場の覇権を握っているのか? 日本人としては、日本国内企業がその座についていることを期待してしまいますね。

昨年2018年をみただけでも、トヨタ自動車とソフトバンクの提携、ホンダ技研工業とGM(ゼネラル・モーターズ)の提携、Audi(アウディ)の世界に先駆けてのレベル3自動運転車の販売・・・など、各メーカーの自動運転車への市場の奪い合いの合戦は、同時にテクノロジーの発展速度の向上にも繋がっています。

さらに、来年2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催され、オリンピック国際委員会IOCと車両関連でのパートナーシップを締結しているトヨタ自動車は、会場近辺での自動運転車のデモンストレーションを予定。

新しいテクノロジーと触れ合える日が、刻一刻と近付いてきていますね!