
みなさんが愛用しているスマートフォン。
日本で本格的な普及が始まったのは、iPhone 4Sが発売された2011年位からですね。
たった8年で、日本国内の約70%8千万人以上が使用しているスマホですが、いずれスマホが携帯通信端末として使用される時代も終わります。
次に、ワタシたちが携帯通信端末としてもつことになるのは「MRゴーグル」
通常のメガネと同じようなMRゴーグルは、外界の景色を見ながらでもスマホのように通信ができ、同時にさまざまなデータが目の前に広がります。
VR(仮想現実)とAR(拡張現実)がミックスされたMR技術は、次世代の携帯端末として世界的なヒット商品になりうるため、さまざまな企業が研究・開発に力を入れています。
今回の記事は、日本においての通信事業再大手「NTTグループ」が、VRをはじめMRについての事業展開をはじめていることについてご紹介します。
NTTデータ:VR遠隔会議システム

日本最大手の通信事業企業「NTTグループ」の子会社のひとつである「NTTデータ」は、2020年までの本格導入を目指し、VRヘッドセットを使用した「VR遠隔会議」のサービスを開始すると発表しました。
VR遠隔会議は別々の遠隔地にいる者同士が、同じVR空間に集まりチャット形式で会話ができるというものです。
声での会話の内容は、すぐさま画面内のチャットウインドウにテキスト化されます。
また、同時通訳機能も搭載しているので、海外の人との会議も可能です。
・・・と、書きましたが、正直なところ、現行で大人気のVRヘッドセット「Oculus Go」は、買った時点ですぐに使用できる「Oculus Room」というVR空間で、複数人が集まってコミュニケーションをとったり、同じ映像やPC内のデータを閲覧できたりするので、NTTデータのVR遠隔会議に真新しさというものは全く感じられません。
また、日本国内であれば同じくOculus Go向けのアプリとして「桜花広場(おうかひろば)」というVR会議システムが販売されており、思うにNTTデータのVR遠隔会議よりも使い勝手がよく、さらに果てしなく安価だと思います。
VR会議システム「桜花広場」β版 PC版
価格:¥3,300−
VR会議システム「桜花広場」β版 Oculus Go版
価格:¥2,000−
NTTデータはこのシステムを2013年から開発に着手していたようですが、世界はすでに2年前くらいにこれらのシステムを完成させ、普及させてしまっていました。
正直、時既に遅しという感は否めませんが、このシステムは2020年にそこそこヒットすると思われます。
東京オリンピック・パラリンピックでVR遠隔会議が大活躍!?
NTTデータがこのタイミングでこのシステムを発表したのは、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの際に起こる、交通渋滞による通勤規制に向けての対策としてです。
すでに各社がネット上でのテレビ電話を活用したシステムを、通勤規制の対策として販売を始めていますが、将来性を見込んで多くの企業がNTTデータの販売するVR遠隔会議の方を選んでいくでしょう。
テレビ電話で行う遠隔会議よりもVR会議のほうが優れている点は、なによりも臨場感と場の雰囲気です。
テレビ電話でおこなう会議に緊張感がないわけではないですが、同じ画面に複数人の顔が一同にかえすと、どうしても各人のちょっとした動きや表情が気になったりして、集中力に欠けてしまいがちです。
その点、現実の会議室をまるまるVR空間にもちこんだVR会議であれば、注視するべき点も自分で選べますし、あやまって聞き逃した言葉もテキスト起こしのウインドウからすぐに見ることができます。
NTTデータでは、テレビ電話での遠隔会議を常用している会社に、VR遠隔会議をお試しで利用してもらったのですが、参加者の52%が「テレビ電話での会議よりも分かりやすい」と回答しています。
今後のVR機器の活用などもふまえ、多くの企業がNTTデータのVR遠隔会議を利用するのではないでしょうか?
NTT:MR機器メーカーに多額の出資
去る2019年5月に、NTTドコモはアメリカのMRグラス開発企業「Magic Leap(マジックリープ)」に対して、約310億円の出資を行いました。
目的として、今後普及する「第5世代移動通信方式(5G)」に併せて、日本国内でのMRサービスの創出です。
すでにNTTドコモは、マジックリープの技術を使用してのデモンストレーションを開催。
「HOLO COMMUNICATION(ホロ・コミュニケーション)」という、マジックリープ用のMRアプリを使用し、日本のNTTドコモのオフィスと、アメリカのグアム島を5G回線で繋ぎました。

マジックリープのMRゴーグル内には、3Dグラフィックスで作られた相手のアバターがまるでホログラフのように現れ、身振り手振りのついた会話を行うことができます。
画像で見てわかるように、UIの中心には電話の通話アイコンがあり、赤い「切る」のアイコンは、そのアイコンを手で「握る」動作をすることによって、通話をOFFにすることが出来ます。
MRが現在のVRより優れている点は、このようにMRグラスさえかけてしまえば、機器の動作やアプリのコントロールは、すべてなにも持たない手の動作だけで行えてしまう点にあります。
NTTブランドのVRヘッドセットも開発中
更にさかのぼって、2019年4月のことです。
NTTドコモは、スマートフォン向けの広視野各VRゴーグルを開発していることを発表しました。

このVRゴーグルは本体だけでなくレンズもアクリル製にすることで、安価での製造が可能ということです。
一般販売は視野に入れておらず、あくまで昨今いたるところで開催されているVRイベント用に提供したり、企業ライセンスでの提供を考えているとのことです。
現在、VRイベントでもっぱら使われているのは、ほとんどがSONYのPSVRか、Oculus VRのヘッドセット、もしくはHTC社のヘッドセットだったので、今後はそれらがこのNTT製にに変わる可能性が高いということですね。
特にNTTグループは、NTTコミュニケーションズがすでにVRを用いた企業の研修制度などのコンテンツ販売を行っており、そこでも活用されるようになるのではないでしょうか?

PCやスマホを必要としないスタンドアローン型のVRヘッドセット「Oculus GO」は、VRライトユーザーを囲うのに大きな役目を果たしました。
しかし、あくまでそれは「VRに興味のある人」の中でのライト層を指し、世間一般においてはまだまだ敷居の高い代物といって差し支えありません。
ですが、NTTドコモをはじめ、現在さまざまな企業で進められているMR技術の開発と、同時にそれを使用するための「スマートグラス」の開発により完成する次世代の携帯端末は、容易にワタシたちが現在のスマートフォンの代わりに手にできるものとなるでしょう。
下の画像は、香港のスタートアップ企業「MAD Gaze」が開発しているスマートグラス「GLOW」です。

これはまだ、グラス内に画像や動画、テキストを表示出来るだけのものですが、いずれこのサイズでMR機能を操作できるものが登場します。
街中メガネだらけの人になるのはちょっと異様な光景かもしれませんが、そんな時代ももう目の前まできているということですね。
スマホ普及のきっかけとなったiPhone 4S販売時は、Appleとの契約が遅れてソフトバンクやauに先を越され苦汁を味わったNTTグループですが、次世代の携帯通信端末となるMRに対しては、かなり盤石な状態で臨もうとしている感じです。
