
2020年、新型コロナウイルス感染症の対策が始まってから広く社会に浸透した言葉「social distancing(ソーシャルディスタンス)」
social distancingを直訳すると「社会距離拡大戦略」
いわゆる感染拡大が起こる可能性の高い三密こと「密集・密閉・密接」を回避するために、個人が個人と物理的な距離をおき生活をしていきましょうという取り組みで、日本国内では大きく広まっています。
ですが、ソーシャルディスタンスも、新型コロナウィルス感染拡大が大きく報道されていた2020年8月くらいまでに比べて、徐々に曖昧になりつつあるのが事実。
施設や設備がソーシャルディスタンスしやすいように改善されたとして、使う側の人間がそれらを無視して密集し合う光景は、日常の中であたりまえのように行われてしまっています。
そのような中、ソーシャルディスタンス対策に苦労する企業や店舗向けに、心強いAIカメラが登場しました。

株式会社EXAWIZARDS製「ミルキューブ」
今回紹介する「ミルキューブ」は、介護・医療・HR・ロボット・金融などさまざまな領域でAIプロダクトの開発と実用化に取り組む「株式会社EXAWIZARDS(エクサウィザーズ)」が開発しました。
エクサウィザーズは自社で開発したAIプラットドーム「exaBase」を中心に、さまざまなAIテクノロジーを使用したサービスを提供しています。
効率よくソーシャルディスタンスへの改善をするため「三密」を可視化・分析できるAI搭載カメラ「ミルキューブ」
この未来ガジェットの最大の魅力は「小さいボディで全てが完結する」こと。
10cm四方のキューブ型カメラには、どのような機能が備わっているのでしょう?
人の動きを分析することに優れたAIカメラ
新型コロナ対策としてのソーシャルディスタンスを効率よくおこなうために「三密」を可視化、分析できるミルキューブですが、三密の可視化はあくまで機能のひとつにすぎません。
ミルキューブの機能を大きく分けて6つご紹介します。
1・三密を可視化する

特に商業用施設や観光地、美術館といった観覧施設において、役立つのがこの機能。
上の絵にもあるように、ミルキューブは施設内が見渡せるような位置に設置することで、前面の2つのカメラが施設内での人物の動きを観察していきます。
一定期間観察を続けることで、ミルキューブは施設内の混雑率を計測し、混雑が発生した場所を特定していきます。
施設管理者は、このデータを元に改めてソーシャルディスタンスへの対策を行うというわけです。
また、その「対策前のデータ」と「対策後のデータ」を比較できたり、その内容を顧客に公開して安全対策の取り組みをアピールすることができます。
2・売り上げを科学する

店舗型商店において、店内の入り口から入ったお客様の動き「動線」の分析はたいへん重要なものになります。
店舗売り上げ向上を図り、コンサルティング依頼などをした場合、コンサルタント会社がまず行うことは動線の分析と改善です。
ミルキューブは、高感度イメージセンサーで店内の様子を精細に捉え、従来のAIカメラでは困難だった売り上げに関連する動向をいくつものパターンから計測して検知・数値化することができます。
また、ひとつ前の機能「三密を可視化する」と同様、対策前とのデータ比較もできます。
3・思い出でいっぱいにする
ミルキューブは、高解像度と暗所性能をもつSONY製CMOSイメージセンサーを搭載しています。
それにより、AIの自動撮影による思い出写真の記録にも最適です。
高性能カメラで保育園での子どもの行動や表情を検知し、自動撮影することができますし、またブレている写真は補正して、おすすめ順に専用サイトに掲載します。
ミルキューブは天井から吊るす監視カメラのように定点でのみの撮影ではなく、日ごとに場所を変えれば様々な角度から撮影をすることも可能。
多くの保育園や幼稚園では、これらの作業を保育士のみなさんがカメラを片手に、撮影した画像をPCに転送して行っていますが、ミルキューブ1台を置くだけでそれら全てを自動で行ってもらえるのは、保育士のみなさんの負担を大きく低減させます。
4・大切な人に寄り添う
遠方で暮らす高齢者をケアするのに最適な機能。
日常の様子をモニタリングして介護施設入所者の健康管理をサポートします。
ミルキューブは、人間のカラダの動きをAIが画像処理でモニタリングできるので、歩き方から転倒リスクや介助方法を推定できるため、リハビリのサポートも可能です。
5・仕事が進化する

現在、多くの工場施設においてAIの導入が進められており、その一部に「作業手順の習熟」のためのものがあります。
熟練者の動きをAIが学習し、新人作業者との比較を行い、改善点をデータ化するというものです。
そのシステムを10cm四方の箱ひとつで担ってしまえるというのがミルキューブの素晴らしいところです。
確認したい作業の様子にフォーカスしたダイジェスト動画を自動作成したり、手本と自身の映像を重ねて比較することで、業務を効率化することができます。
6・スポーツの楽しみ方を変える
前述したように、ミルキューブは人間の動き。つまり、四肢の動きや顏の向き、首の傾きなどをAIがデータ化し、他と比較することができます。
ダンスなどであれば、タイミングやフォームが手本とどれくらいズレているのか? を測定できます。
団体競技などでは、撮影した画像を元に3Dモデルを作成し、フィールドを俯瞰でみることも可能です。
ミルキューブ 仕様
サイズ | 幅10cm×高さ10cm×奥行10cm(引き込み脚収納時) |
重さ | 490g(ACアダプタ含まず) |
画像解像度 | 最大1920×1080px |
フレームレート | 最大30fps |
画角 | FoV(D) = 150°/45°(2眼レンズ) |
インターフェース | 10/100/1000Base-T Ethernet×1 Wi-Fi 802.11n (2.4GHz) |
取付ネジ | 1/4インチ 三脚ネジ(2箇所:本体下、本体背面) |
付属品 | 12V, 2A ACアダプター(コード長 1.5m) |

2020年7月に行われた企業向けアンケートにおいて、7割以上の企業が2021年以降も新型コロナウィルスに対しての社内や店舗内での対策が必要であり、その準備をしていると回答しました。
オフィスビルならともかく、商業施設や観光施設においては、ひとたび施設内でクラスターが起こってしまった場合、大きな損害を招く以上に、閉鎖を余儀なくされるされる可能性さえあります。
それらを未然に防ぐため、ソーシャルディスタンスがキチンと行える施設改善が日々行われていますが、過度な対策は時として利用客に不満を与えたり、リピーターの喪失に繋がったりもします。
AIのチカラを借りて、人間の観察だけでは計測不能な混雑度を計測し、施策改善へと導いてくれるミルキューブ。是非とも多くの企業に導入をしてもらいたいものですね。
ミルキューブの最大の魅力は「小さいボディで全てが完結する」ことで、小さいボディなのでどこにでも持っていけることが魅力です。
壁や天井に取り付けなくてはいけないカメラと違って、ひょいと置けばそこから計測・分析を開始してくれます。
そしてなにより機能は「新型コロナウィルス対策」に特化しているだけではないことも重要。
コロナ禍が終わったあとも、それらの機能を使って店舗の売り上げアップや、工場の生産性向上に貢献できるミルキューブ。
新型コロナウィルスの新薬ばりに、希望が詰まったAIカメラですね。
