
世の中を狂わせていたコロナ禍も徐々に落ち着いてきておりますが、半年以上にも続く自粛営業等により外食業界は大ダメージを喰らっています。
上場企業系列の外食企業でさえも、2020年7月末までの間に1,200以上もの店舗が閉鎖を余儀なくされ、多くの従業員が解雇されるカタチとなりました。
そして迎えた10月からの自粛緩和やGoToイートによる集客で、V字回帰をしたいところですが・・・
実際、飲食店の現場においては接触が伴う接客を嫌う利用者の方が多く、店舗内の設備が感染対策に伴っていない店舗などでは、リピーターを作りづらくなっている状況です。
そんな中、飲食店内での配膳、いわゆるウェイトレスさんの代わりをしてくれる優秀なAIロボットが登場しました。
その名も「サービスショット」
株式会社アルファクス・フード・システムは、2020年11月より、配膳AIロボット「サービスショット」の発売を開始すると発表しました。
嬉しいのはその価格で、なんと月額レンタル料が「¥100,000-」
基本的な10時間営業の飲食店であっても、4週28日間稼働させたとして、サービスショットの時給は約¥360-
営業時間が長い店舗であれば、ますます時間あたりの単価も安くなるので、超お得!!
アルバイト・パートを雇うよりも断然低価格で、ロボットを雇用することが出来るのです。

できることは3つ
AIロボット「サービスショット」ができることは大きく3つ。
「注文を受ける」「配膳」「下げ膳」
飲食店のホール内で、いわゆる「厨房以外」を担当するスタッフが、やるべき3大業務をサービスショットは実践することができます。
いったいどうやるの?「注文」
お客様はテーブルや店内に貼ってある「オーダー用QR」をスマートフォンで読み込みます。
そうすると、専門サイトにアクセスし、店内で販売している料理のメニューが閲覧できます。
そこから食べたい料理を選択し、注文します。
お会計はお先に♪
注文が完了したら、スマートフォンを持ってセルフ・レジまで行きます。
セルフ・レジに取り付けてあるバーコードリーダーに、注文後に画面に現れるQRコードを読み込ませ、データをレジに転送します。
レジには注文内容が表示され、自分が注文したものと合っているか確認します。
OKならその場でお金を支払い、それが完了すると厨房に注文が通ります。
いったいどうやるの?「配膳」
厨房でできあがった料理はAIロボット「サービスショット」の胴体内部に収納されます。
サービスショットは秒速1メートルという、ほぼ人間が歩くのと同じくらいの速度で移動し、注文を受けた席まで料理を届けます。
お客様はサービスショットの胴体部のフタを開け、中に収納されている料理を取り出します。
ちょっと、この「取り出す」というのが、せっかく外食店まできて「なんかサービス悪いな」と思えてしまったりするかもですが・・・?
サービスショットが普及すれば、人件費の削減により店舗側もある程度商品の価格を下げることが可能となるので、そちらにサービスが回ったと考えればOKなのではないでしょうか?

いったいどうやるの?「下げ膳」
これは個人的なことなのかもしれないのですが、外食をしていて、食後の下げ膳をしてくれるか、してくれないかって、店選びの重要なところになったりします。
おなか一杯になってリラックスしたいのに、目の前に食後の食器が置いてあるのって・・・ちょっとイヤですよね?
サービスショットは、食器を下げて欲しいと思ったら気軽に呼ぶことが出来ます。
テーブルの横まで来ると、明瞭な日本語で、
「召し上がったお皿を入れてください」
と音声案内してくれるので、食べ終わった食器をサービスショットの胴体部にしまいましょう。
感覚的には、フードコートなど、自分で食器を下げなくてはいけないような施設で、下げ膳の場所がすぐそばまで来てくれるといったところでしょうか?
イタズラも回避? 優れた空間センサー
サービスショットには、搭載されたカメラがビジョンセンシングを行い、映し出された映像を即座に分析して「歩行中の人間」や「飛び出してくる子供」「店内の設備」など、それがなにであるのか? ということを解析します。
併せて対人センサーを使用することで、店内のお客様や従業員との接触を避け、事故を未然に防ぎます。
また、ビジョンセンシングはかなり優秀で、進行方向にいる人物が「あからさまに進路を塞ごうとしている」いわゆるイタズラ的な行動をしていると、やさしく、
「すみませんが、通していただけますか?」
と音声アナウンスをしてくれます。
たまに・・・繁忙期なんかにカリカリしていて、知らず知らずに従業員さんの行く手を遮っちゃっていて、ちょっとヒステリックに
「すいませーーん!!」
なんて、後ろから大声出されてビックリすることありますが、ロボットが相手だったらそんなことは起こりませんよね。

今回の記事、飲食店を経営している人には「お!?」と思える内容だったのではないでしょうか?
正直、やっぱり接客サービスというのは人の手によるものが最高で、その価値というものは揺るがないと思うのですが、ぶっちゃけると日本という国はサービス業に対して、賃金が安いのです。
原因は第二次世界大戦のGHQにより、日本国内での様々な産業での賃金が決められた際、元々アメリカや諸外国では「チップ」というものが、サービス業では行われていました。
チップというのはいわゆる「心付け」で、荷物を運んでくれた、料理を運んでくれた、ベッドメーキングをしてくれた、という人的サービスに対してお客様から従業員に支払われるる「定価の決まっていないサービス料」です。

その為、チップ分を差し引いて賃金を決定したため、基本給というのは他の業種に比べてけっこう低い設定になっています。
が、その後日本では「チップ」という文化が根付くことなく、結局サービス業は、本来であれば高度な接客をすることで、大きな心付けをもらって大きく稼ぐことができる職業にも関わらず、日本国内では「拘束時間にある程度自由を与えてもらえる代わりに低賃金」というような業種に収まってしまいました。
わたしとしては、この「AI配膳ロボット」が普及し、店舗ごとの必要経費を下げることが可能となることで、改めてスタッフひとりひとりの賃金を見直し、ベースアップも可能なのでは? と、考えます。
長年言われているサービス業においての「人手不足」の最大の原因は、仕事量に対しての賃金の低さによるものです。
店舗経営を行う上で、無駄な経費第1位は「従業員募集広告料」で、この部分というのは店舗経営者の手腕によっていくらでもコントロールできるものです。
世の中続々と「安かろう」なリクルートサービスが横行していますが、安いものはあたりまえですが思った通りの成果を出してくれることはありません。むしろ、もう少しお金を出して、もっと良いところに頼めばよかったと、思ったところで後の祭りです。
なによりも離職率を下げることこそが、人手不足の解消となり、その第1歩目は使えないアホなコンサルが口にする「職場環境改善」ではなく、圧倒的に「ベースアップ」なのです。
そこをゴールとする考えからも、配膳AIロボット「サービスショット」ちょっと考えてみるのも良いのではないでしょうか?
パーソナル空間を大事にする女性客とかカップルに、大ウケしそうですしね。
